千手堂にご来院される方で今年わりと多い症状なのは、風邪を引いたあと、風邪の症状は治ったのだが、耳が聞こえなくなった、耳鳴りがするようになった、というものです。検査には出なかったが、実は新型コロナウイルスに感染してその後遺症なのではないか、と疑いを抱かせる方々が多いのです。若い方でも、完全に耳が聞こえなくなってしまった、という事例があり、ただの風邪でこんなに多くの方々が耳に異変を生じるだろうか、といろいろ考えさせられます。鍼をして、聞こえるようになった、聞こえがましになったという人はいますので、治る方がいる一方、鍼や耳鼻科でいくら治療を受けても一向に変化しない、という患者様はいます。固定化されてしまったのか、元に戻らないのか、自他ともに心配ですが、とにかくあきらめず鍼や耳鼻科の専門の治療を受けるしかありません。

耳の場合、放っておいていつか治るという事例は少ないような気がしていますし、悪化していくか、変化ないままずっと治らないケースが多いと思います。周りに耳鳴りの方がいらっしゃったら、よくなっているか聞いてみてください。おそらく、ずーっと、キーンとかブーンという音がしているよ、と答えが返ってくるのではないのでしょうか。それだけ、耳鳴り、難聴は治るのが簡単でありませんし、治らない方は一生治りません。なので、鍼灸を改善のためにやっていくにしても、回数を多くやる、長期間覚悟してやっていくことも大切なことだと思います。そもそも耳鼻科で何年も治らないものが、鍼ですぐ治るとも思えません。異変を感じたら、すぐに治療を開始することも重要です。